2017年11月3日金曜日

【開催報告】からだのシューレVol.8「かわいいの作り方」


「かわいい」って一体何からできているんでしょう?
かわいい人が一瞬にして、かわいくなくなったり、かわいいくない人が、一瞬にしてかわいくなることはあるんでしょうか?

からだのシューレ第8回目は、普段何気なく使うけれど、よくよく考えるとわからない「かわいい」をテーマに開催しました。

今回のトリは地面にいます。

《前半:KJ法をやってみよう!》


まずは文化人類学者の川喜田さんが開発したKJ法と呼ばれる方法で、ブレインストーミングを行います。3グループに分かれ、「かわいい」と直感的に感じるものをどんどん付箋に書いてもらい、それを種類ごとにグループ分けをしてもらいました。


手前の方は―

くまもん、石原さとみ、顔が小さい、目が大きい、まゆ毛が長い。

奥の方は―

ハート、丸、チーリュップと書いてらっしゃいますね。

さて、これらに何か共通点はあるでしょうか?


お次は分類です。グループで出した言葉を、意味が似通ったもの同士でまとめて、それらに表札をつけてもらいます。さてどんな表札がでてくるでしょうか。



こちらのチームは、「小さい」「丸」という表札ができてますね。「嫌なものを乗り越えるためのツール」(嫌なことでもそれを「かわいい」と思うことで乗り越えられる)という面白い表札も出てきています。




表札をつけ終わったら、今出されたキーワードと、表札を見ながら、「かわいい」とは何かについて考えます。

こちらのチームは、いやし、心の端っこをさわられる、胸のときめき、といった言葉と関連するのが「かわいい」のではないかという回答がでています。


一方、こちらのチームは、<おでん>から<笑顔>までのキーワードを「有村かすみ的な」の一言でまとめています!

様々な言葉が出ましたが、「かわいい」とは一体どんな状態なのでしょうか?
KJ法の後は、全体に戻りいまいちどかわいいについて考えます。

《後半:かわいい⇔かわいくない》




後半のお題の1つこちら。この猫ちゃんから「かわいさ」をはぎとるにはどうしたらいいでしょうか?

自由に考えてもらいます。


答えがこちら、なんだかおどろおどろしい感じになってきました。

キバを出して目を吊り上げ、病気で、くさくて、目やにが出て、威嚇をして、ネズミをシャット捕まえて、唸っている猫

確かにかわいくなさそうです…



他に考えてもらったお題の1つはこちら。有名なエマ・ワトソンさんの国連でのスピーチです。切れ味鋭く、非常に堂々としてワトソンさんのスピーチですが、このワトソンさんをできるかぎり「かわいく」するにはどうしたらいいでしょうか?


原稿を目の前で両手で掲げて読む。
声を高くして、もっと舌足らずに話す。
前髪を作って、ふわふわワンピースを着る―

など、ずいぶんと子どもらしくなるような言葉が出てきますね。


さて前半でやった「丸」、「小さい」、「癒し」とからめながら、「かわいい」は何かを考えてみましょう。

私たちはいったいどのようなものに「かわいさ」を覚えるのでしょうか。



まずわかるのは、「かわいさ」は、猫とか、子どもどか、存在そのものに内在されているのわけではない、ということです。

ふるまい方や、見栄え、態度が変われば、一瞬にして、かわいいものは、かわいくなくなり、ひるがえって、かわいくないものは、かわいくなってしまいます。

次に、出てきたキーワードからわかること。それはー

「かわいい」には、親しみやすいというポジティブな要素がある一方で、自分に対して危害を加えてこない、自分より下であり、不完全であるといった意味合いもあるということでしょう。

「かわいくなりたい」という気持ちは、女性であれば一度は持つことのある気持だと思います。

ですが、それが行き過ぎると、大人であるのにわざと子どもっぽくふるまってみたり、できることをできないように見せたり、といった行為につながることもわかります。

逆に「かわいげがない」と相手が自分に言ってくる時は、「自分に対して批判的なことを言うな」、「自分に従っていろ」、といった意味合いも含むことがわかるでしょう。

日本は特に「かわいくあること」が重要視される文化です。それは不完全なものにもよさを見出すという意味でよいことでもありますが、一方で、堂々と意見を言ったり、自立した大人としてふるまったりすることを否定的な目で捉えるというマイナスな方向に進んでしまう場合もあります。

「かわいい」に過度に迎合することなく、うまい付き合い方をしていきたいものですね。

座談会の後のアンケートタイム。いつもありがとうございます!

<次回のお知らせ>

さて、次回の「からだのシューレ Vol.9」は来年の1月29日となります。

次回は筑波大学の湯澤さんとLIXILの山上さんをお迎えし、なんと「うんちとトイレ」について思う存分語っていただきます。湯澤さんは前回大好評の講義をしてくださった歴史学者、山上さんはケニアでトイレを作られている方です。みなさまのご来場心よりお待ちしております♪(お申し込みはこちらから)

からだのシューレ vol.9 うんちとトイレが世界を変える!? 




日時:2018年01月27日(18:15〜21:00 ※18:00受付開始)
場所:渋谷区文化総合センター大和田/区民学習センター2F 学習室2


●概要

生きていく上で欠かせない排泄。そしてそれを受け止めるトイレ。

「うんち」と「トイレ」から眺めると、どんな世界が見えてくるのでしょうか?
今回は歴史学者の湯澤規子さんと株式会社リクシルの山上遊さんを迎えてのクロストーク企画です。

十分な水がなく、衛生的なトイレを使えない人が、世界には24億人いると言われています。 ケニアで「循環型無水トイレ」の開発・普及に奔走する山上さん、100年前の日本の経験を研究する湯澤さんと、現代と過去、ケニアと日本へクロストリップしてみましょう。


●タイムテーブル
18:00 受付開始
18:15 世界共通のうんち事情と世界多様のトイレ事情
18:25 うんちとトイレの話(現代編:ケニア)
18:55 うんちとトイレの話(歴史編:日本、主に愛知県)
19:25 からだと社会とジェンダーの話(クロストーク)
19:45 うんちとトイレが世界を変える!?(ワークショップ)
20:15 質疑応答
20:30 閉会